デジタル遺産の棚卸し
見えにくい持ち物を、まず一覧にしておく
スマートフォンの中身、メール、SNS、写真、毎月課金されるサービス、ネット銀行や証券。デジタル上の持ち物は増えるほど、ご本人以外には見えにくくなります。このページでは、それらを「一覧にする」手順と、注意しておきたい点を紹介します。パスワードをお預かりしたり、専用のシステムで保管したりすることはしていません。
まず、何があるかを書き出す
デジタル遺産というと難しく聞こえますが、最初にやることは「持っているものの名前を書き出す」ことだけです。ご本人にとっては毎日使うものでも、ご家族からは、どのサービスを使っているのかさえ分かりません。思い出せる範囲で構いませんので、次のような分類で書いてみてください。
スマートフォンやパソコン本体、メールとクラウド(写真のバックアップを含む)、SNS・ブログ・動画配信、ネット銀行・証券・電子マネー・暗号資産、サブスクリプションや定期購入、ポイントやマイル。この6つに分けるだけでも、書き漏れがかなり減ります。
一覧は、ノートでも表計算ソフトでも、使いやすい形で構いません。当窓口では、書き出しのご相談に乗り、抜けやすい項目を一緒に確認します。
一覧に書くもの
サービス名、使っている端末、登録しているメールアドレス、月額料金の有無、解約や削除をしたいかどうかの希望です。
一覧に書かないもの
パスワードそのものや暗証番号は、書かないことをおすすめします。手がかりの在りかだけを書いておきます。
優先順位をつける
お金に関わるもの、思い出に関わるもの、放っておくと課金が続くもの。重要度の高いものから整理します。
ときどき見直す
新しいサービスを使い始めたときや、機種変更のときに、一覧に書き足します。半年から一年に一度の見直しがひとつの目安です。
パスワードの扱いについて
デジタル資産の一覧に、IDやパスワードを書き込んでしまうと、紛失や盗み見のときに大きなリスクになります。一覧にはサービス名と「手がかりの在りか」(たとえば、パスワード管理に使っているアプリの名前や、ご家族に伝えてある保管場所)を書くにとどめ、実際のパスワードは、ご自身が責任をもって管理できる方法で保管してください。
多くのサービスには、ご本人が元気なうちに指定しておける仕組みがあります。たとえば、Googleの「アカウント無効化管理ツール」、Appleの「故人アカウント管理連絡先」、Meta(FacebookやInstagram)の追悼アカウント管理などです。名称や内容は変更されることがありますので、必ず各サービスの公式ヘルプでご確認ください。
当窓口では、パスワードやアカウント情報、口座情報のお預かりや、暗号化した専用ボックスのような保管サービスは行っていません。相談フォームにも、これらの情報は書き込まないでください。
サービス名を書き出す
使っているアプリやサイトの名前を、分類ごとに書いていきます。スマートフォンのホーム画面や、請求メールの履歴が手がかりになります。
手がかりの在りかを書く
「パスワードは管理アプリに入っている」「ロック解除の方法は家族に伝えてある」など、探すための道しるべだけを残します。
公式の仕組みがあれば設定する
アカウントの引き継ぎや削除の希望を、サービスが用意している設定で登録しておきます。
見直しの時期を決める
誕生日や年末など、覚えやすい時期に、一覧と設定を見直す日を決めておきます。
写真・動画・メッセージを残す
デジタル上の持ち物のなかで、ご家族にとっていちばん価値が大きいのは、お金よりも、写真や動画、書き残された言葉かもしれません。スマートフォンやクラウドに散らばった写真は、残したいものを選んで一か所にまとめておくと、あとから見つけやすくなります。
ご家族への手紙やメッセージは、手書きの紙で残す方法もあります。デジタルのデータは、機種変更やサービス終了で見られなくなることがあるためです。なお、当窓口でメッセージを預かって将来ご家族に配信する、といったサービスは行っていません。
写真・動画の選び方
年代別やテーマ別にフォルダを分け、「残したい」と思うものだけを一か所に集めます。全部を整理しようとしなくて構いません。
手紙・メッセージ
紙に書く、録音する、動画に撮る。ご自身が続けやすい方法を選びます。保管場所は、ご家族に伝えておきます。
SNS・ブログ
そのまま残すのか、閉じたいのか。ご自身の希望を一覧に書き添えます。サービスごとの手続きは、各サービスの案内に従います。
サブスクリプション
解約を忘れると、請求が続いてしまうことがあります。サービス名と支払い方法を一覧にしておくと、ご家族が止めやすくなります。
ご家族への伝え方を決める
一覧をつくったあとは、「誰に」「何を」「いつ」伝えるかを決めます。すべてを一人の方に任せるのか、お金に関わる部分と思い出に関わる部分で分けるのか、ご家族の状況に合わせて話し合います。決めた内容は、ご本人とご家族の間の約束であって、法的な効力をもつものではありません。
暗号資産やNFT、アフィリエイトサイト、オンラインストアなど、金銭的な価値や収益に関わる資産は、評価の方法や名義変更、税金の扱いが複雑になりやすい分野です。それらの判断や手続きは、税理士、弁護士、司法書士、行政書士などの専門職の領域のため、当窓口ではお引き受けしていません。暗号資産のリカバリーフレーズなどは、失うと取り戻せないことがあるため、取り扱いには特に注意してください。
家族の範囲を決める
知らせたい相手、頼りにしたい相手を書き出します。連絡先も添えておきます。
内容を分ける
お金に関わるもの、思い出に関わるもの、公開したくないものに分けておきます。
伝える方法を決める
口頭で伝える、封筒に入れて保管する、ご家族と一緒に確認するなど、無理のない方法を選びます。
専門職に確認する
権利や手続きに関わる部分は、専門職に確認します。必要な場合はご自身でお選びいただきます。
デジタル遺産の整理のご相談
何から書き出せばよいか分からない、という段階でも構いません。初回のご相談(60分)は無料です。
よくあるご質問
デジタル遺産とは何ですか?
インターネットやデジタル機器に関わる持ち物の総称です。ネット銀行、SNS、メール、クラウドの写真、サブスクリプション、暗号資産などが含まれます。
パスワードを預かってもらえますか?
お預かりしていません。パスワードや口座情報の保管サービスも行っていません。ご自身が管理できる方法で保管してください。
デジタル資産は法的に相続できますか?
サービスの利用規約や契約内容によって扱いが異なり、一律には言えません。個別のご判断は、弁護士・司法書士・行政書士などの専門職にご相談ください。
費用はどのくらいですか?
初回のご相談(60分)は無料です。以降は、内容と所要時間に応じてお見積りをお出しし、ご納得いただいてから始めます。
ご本人以外が相談してもよいですか?
ご家族からのご相談も歓迎します。ただし、ご本人の同意がないまま、アカウントの中身を調べたり、解約したりする手続きの代行はできません。
どうやって始めたらよいですか?
まずは、使っているサービスの名前を思いつくだけ書き出してみてください。書き出したものを持って、電話・オンライン・来所(事前予約制)でご相談いただけます。